2019年末から軽く始めた朝の40分程度のジョギング中に、ふと思い出したことがあった。それは、デザインではない動きを覚えるスピードを効果的に上げるには、どうすればいいか?ということ。
私は生まれた時から父親の影響で常に何かしらのアートに触れてきた。絵画、彫刻、オペラなど、数えられない。でも、身体で表現するってダンスの世界に触れたのはずっとあと。だから、運動神経があまり良くないって言われたこともある。
JIN
「お前は本当に、運動神経わるいな…」
「カタチじゃなくて動きだよ!!」
JIN
だから、今回は「練習の本質」について考えていきます。
Table des matières
ダンサーなのに運動神経が悪い!?
私がダンスを始めた頃から、プロになっても抱えていた問題。それが、運動神経が悪いってこと。ダンスを踊るんだから、よくて当たり前かと思いきや、意外とそうでもない。むしろ、効果的な練習をする術を知らないと、頑張った分だけ余計な筋肉がつく。
JIN
つまり、練習の本質を考えて習慣をかえる必要があるってことなんです。
効果的な練習は1回でいい
まずは、このTEDの動画を参考にお話します。この中で説かれているのは、効果的な練習をするために、何が必要か?身体的な動きをよりスマートに行うには、何が不可欠なのか?ということです。
パフォーマンスに追われて基礎的なことが疎かになったり、効果的な練習に集中できない期間があると、悪い癖って出やすいです。だから、この動画の中で言われていたことをいま一度踏まえて、1回の練習の精度をあげようと思う。
1回の正解を出して、それをイメージして、またトレーニングする。動きの無駄をなくすってその繰り返しだから、今年は「頑張る」って練習はしない。効果的な練習は、1回でいい。
ダンスのための解剖学
実際に私が抱えている悪い癖で、動きのデザインを先に覚えて筋肉でそれを再現しようとする。というのがあります。これが、そもそも間違い。私は身体をマテリアル(例えば筋肉と骨で構成された物体)としか捉えていない部分があった。
だけど、それがリリーステクニックを実際に練習しだして直ぐに間違いだと気がついた。
いままで散々、チカラじゃない、カタチじゃない、とダンスの師匠から口を酸っぱくして言われていたのにも関わらず、やはり決定的な実感が湧いていなかったのかも。
それが全く通用しない。というか、できない。
リリーステクニックを学ぶ、練習すると、今までいかに自分にダンスのための解剖学の知識と経験が足りていなかったか?がひしひしと伝わってくる。だから早速フェルデンクライスのワークショップを受けて、ダンスのための解剖学の本をフランス語で購入した。
このダンスのための解剖学の本には、
- 動きに必要な筋肉と筋
- 動きに必要な骨と骨格
が頭の先から足の先まで書き記されている。私は解剖学者ではないけど、たぶん普通の解剖学の本と違って随分と端折ったり、グループ分けされてるだろうと思いますがそれでも情報が多い。
骨盤一つにしても、恥骨や仙骨といった基本的なイメージはあっても、実際に3つに別れて図で描かれた骨盤のイラストをみて、実際に動くときに意識するだけで全然楽に動けたりする。
JIN
カラダの記憶ってなんだろう
この「動きのための解剖学」とリリーステクニックのおかげで、
- 身体
- 動き
がより具体的に繋がるダイアログを学ぶことができました。毎日、毎瞬間ちがう身体をつかう。効率的に、チカラを無駄にしないで流れる道筋をクリアにしていく。そんな感じ。
先ほどの動画の中でも語られていた、筋肉には記憶するって能力はない。って本当だと思う。やっぱり記憶は脳の仕事。筋肉は、情報を伝える媒体みたいなもので、いかにクリアな情報をおくるか?が大切になる。
クリアで無駄のない、効果的な動きを「練習」って反復することで、脳に蓄積する。そして、頭でデザインを覚えるのではなく、その瞬間に「何が起こっていたか?」を知ること。
まずは、簡単なことでもいいから毎日時間を取って筋肉と頭に覚えさせよう。習慣をかえないと。
ケーススタディ:JINに寄せられた質問
プロダンサーの体型の理想は?
プロダンサー=スタイルが良く無いとなれないと思ってませんか? これは、実は間違いです。頭が小さくて、脚がすらっと長くて、括れがあって・・・ なんていうのは、ごく一部のダンススタイルにしか当てはまりません。
なぜこういった考え方が広まっているかというと、それは同じようなスタイルの人が踊ったダンスが流行りやすいからです。
具体的に言うと、クラシックバレエが代表でしょう。 クラシックバレエは、そもそも骨格という、骨の形や生まれ持った体の素養で生徒を取りますから、それに当てはまらない人はクラシックの世界には居ないんです。
なので、同じ規格で選ばれた人しか舞台に上がることはなく、結果、そういった人たちしか居ない舞台のイメージが広がり、プロダンサー=スタイルが良い。というイメージになったのだと思います。
スタイルが良くなくても、美しいダンサーはいますか?
自分の見せ方の基礎や技術がしっかりとしているダンサーなら、スタイル良し悪しは関係無い。 彼、彼女たちがなぜ美しいかというと、体の使い方が分かっているから。
体の使い方さえ分かっていれば、スタイルの良し悪しなんて関係ないんです。
ですから、これからダンスを始める方には、そういった理由で諦めないで欲しいです。せっかくダンスと出会ったのに、自分の事が嫌いになってしまっては勿体無い。
私は背が小さい方なので、クラシックバレエの舞台にはどんなに頑張ってもネズミ役ぐらいしか貰えないでしょう。そもそも、出たことはありませんが。
それでもプロとして活動するのには、あまり関係がありません。 重要なのは、自分をどう見せたいかをはっきりとイメージすることです。
自分が、こんな風になりたい、こんなダンサーになりたい!というイメージをなるべく具体的に持つことはとても重要です。
自ずとスタイルの良し悪しなんて関係のない、美しい表現が見えてきます。自分が観せているのかどうかが、分かるようになるんです。
そこからがプロダンサーへの第一歩になります。 プロダンサーを目指されている方には、そういったネガティブな理由で夢を諦めることがないように、自分の持っている良さ、美しさを丁寧に見てあげる時間が必要です。
私がプロダンサーとして、活動できているのは、そういった自分の見せ方、美しさを研究し続けているからというのが大きいと自負してます。
そして、偉大な先輩たちのほとんどは、そうしてプロとして生きています。
しっかりとした、自分の体の使い方、そして見せ方を常に意識してあげることが プロダンサーになるための近道かもしれません。
練習の本質を考えて効率的に時間をつかおう
根性論では通用しないプロの世界で、スポ根やドラマが好きなJINとしては癖みたいになってた「デザイン」で捉えがちな癖。それを動きで理解する目を養って身体を変えるって、時間はかかるけど、練習の本質を捉えていると思う。
デザインではない動きを覚えるスピードを効率的に上げる。
このテーマだけで一生学び続けられる気がします。
もし私と同じように運動神経が悪いって悩みを抱えてたり思ってるなら。実践してほしいと思います。