人工知能と自然

私は、ダンサーだ。活動は動きが主体で、ボディーランゲージの「主題」は常に観客の視覚に対して明確でないと独り言になってしまう。

ダンサーは自然に動く。だがそれは明確に「不自然」な動きだ。完璧に人工の動きであり、本能的なそれとは明らかに異なる情報を発信している。

振り付けの動きが変わってしまう、それはつまり、本能的に身体を動かすからだ。自然にある身体をそのまま受け入れたら、そりゃそうなる。

振り付けに「自然」な状態は存在しない。身体の方向、筋肉の加減、時間のタイミングが必ず「人工的」に作り込まれている。

身体で考えるトレーニングは、そうして人工的に作り込まれた動きを、知能を使って精査していくことだ。

動きの終わりを見つけ、途中で変化をつける。ひとつひとつの身体の動きを口語言語化するトレーニングは、動きを身体を通してプログラミングしていくといっていい。

骨盤、体重、微細なタイミングをボディーランゲージとして観客の視覚に届けコミュニケーションをとる。それが楽しいのだ。