踊れ。そして稽古をしろ。

日本でまだ研修生をしていたころ、毎日心の中に渦巻いていた気持ちがあった。それは、

絶対に、上手くなってやる。

という気概のような強い念。とにかく、今よりもっと、一つでも多く、一挙手一投足を観客の心に残るものにしたいと思って必死だった。

1日8時間は劇場にいるとして、稽古に費やす時間は週5日で40時間、もしくは48時間。だから月に4週で160-192時間。それが一年のうち夏休みなんかを除いて、10ヶ月近くあるから1600-1920時間の稽古を6年間続けていた。

たぶん、夏休みなんかの自習を入れたら年間の稽古は2000時間近くに登るのかもしれない。

稽古は、全ての基礎を養うダンサーにとっての命綱だ。トレーニングといってもいい。

トレーニングさえ出来る環境を手堅く得たいなら、フリーランスより劇場専属になる方が手っ取り早い。それ以外のメリットは、二の次だ。

怪我をしても、役がなくても、踊れる場所と身体さえ有れば幸せ。そんな人種がダンサーだ。それ以外に大義名分は必要ない。

研修生の頃の夏休み、身体が疼いて、何でも必死になって吸収していた頃を思い出せば、いまがどれほど幸せで恵まれた環境か?それを噛み締めている。

もっと稽古しよう。もっとトレーニングしよう。踊ろう。間違ったら直せばいい、不安なら聞けばいい。それが出来なくなったら、この身体と命を返せばいいのだ。