リヨンを2週間はなれて、Cusset(キュッセ)という街の劇場に新作「Tchai kov ski (チャイコフスキー)」のクリエーションにダンサーとして参加して来たので、自分の気持ちの変化や、まとめもかねてシェアしようと思います。
今年の12月に初演を迎えるこの作品は、フランス人の振付家と6人のダンサーが「集団」というテーマの元、古典バレエの王道曲である、「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「白鳥の湖」をモチーフにした作品です。
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チャイコフスキーと遊ぼう
新作のクリエーションが終わってリヨンに2週間ぶりに戻ってきた。古典 #バレエ 作品の王道の曲である、#チャイコフスキー の「#眠れる森の美女」「#くるみ割り人形」「#白鳥の湖」をモチーフに、約1時間を6人のダンサーが踊る。12月の初演まで、このチームだからこそできる「集団」の世界観を磨こう。 pic.twitter.com/IhaS6jWoqD
— Leonardo Jin 🇯🇵🇺🇸🇫🇷 (@jin_leo) 2018年11月3日
ピョトール・チャコフスキーは、ロシアの作曲家です。別名「リズムの天才」と呼ばれ、バレエの音楽では知らない人はいない程有名な曲を数多く残しました。孤児や動植物、同性愛といった様々なテーマに興味を示し、深い愛情と共感を持って接していたといいます。
参考 ピョートル・チャコフスキーwikipedia「集団」で追求する表現。
今回の作品のテーマは、やはり古典バレエにあります。つまり、個人ではなく「コールドバレエ」という集団での表現を追求していこうということ。これが楽しくもあり、リハーサルでは時間も手間も掛かる部分でもあります。
つまり簡単にいうと、1人が突出して秀でたダンサーになろうとしたり、アーティストとして譲れないと肩肘張ってたら絶対に成功しない。そんな感じです。
だいたいこんな感じの繰り返しを、6人のダンサー同士がアイデアを出し合ったり、振付家や演出家と相談しながら、集団ってテーマで創作するために知恵を絞る。その間で、目には見えない呼吸の間みたいなものが、明確になっていく。
たった2週間という間で、すでに出来上がっている振り付けとチームワークの中に、1人のダンサーとして飛び込むのは、正直に言って辛いです。しかも今回は、フランス人同士のハイスピードな話し合いを横で聞いてて、確認を取るのがやっとなので、どうしても対処が後手に回る。悔しい思いを何度もしました。
12月の初演までのリハーサル予定。
2015年の9月頃に日本の劇場をはなれて、1人のダンサー・アーティストとして「集団」の中で踊ることや、どんなスタイルが好きで、どんな仕事がしたいのか?を経験したり、成長したいって理由でフリーランスを選んできました。
2018年10月までの間に、世界的に有名な振付家や、その劇場で踊っていたダンサーがスタートさせた企画に参加したりして、経験を積んできました。そしてまたカンパニーで踊ることの意欲が湧いてきた。これが私にとって、何より大きな心境の変化です。
その新しい目標のために、これから12月の初演や新規のプロジェクトを踏まえてやりたいことは、
- 筋力や体力を更に高めるためのトレーニング
- 一流の仕事人の作品に触れる時間を取ること
の2つが大きいです。精神的にも体力的にも、新しいチャレンジと高い次元を目指したい。
この1ヶ月の間はどんな変化があったか?
この1ヶ月で、チャイコフスキーのクリエーションの間にも、イタリア人の振付家のオーディションに呼ばれたり、中国人のダンサーが創る新作のプロモーションにパリで参加したり、体力的にも辛く、集中力がギリギリの状態でした。
バスや電車の移動時間を使って休むって、何回もやるとかなり疲れます。とはいえ、やるしかない。
私はとくに交通費や宿泊費をなるべく節約して、食事に回したい派なので、カンパニーと相談してなるべくコストを抑える工夫も考えないといけません。
参考 フランス国内の低コストな宿泊手段とは?安全で確実なホテル選びはこれ。次の計画は?
次の計画は、MILK(ミルク)という作品のクリエーションをスペイン人の振付家と始めること。バルセロナでパフォーマンスをすることになっています。そして、リヨンにイスラエルの大手カンパニーが来るのでそのリハーサルに参加させて貰うこと。これが11月の大きなアクティビティです。楽しみすぎる。
来週にはリヨンの市役所の方と会って、日仏のプロジェクトについて提案したいことを相談させてもらいます。そのあと、パリで日本から来た企業の方と一緒にパフォーマンスを観にいったりと細々やることも。
あなただから。と言われたい。
私がいま、一番叶えたい夢。それが、「あなただから。」と言われること。誰でもいいから、ではなくて、自分が責任をもって、選び、捨てることも背負える仕事をすること。その為に、できることを精一杯やる。
オーディションや、クリエーションで気が付いたことも多い。例えば振り付けを覚えるスピードや感覚、体力って感覚をもっと使いたい。劇場で踊るからこそ必要な能力や、資質を落としたくないし、もっと磨きたい。
身体を使うアーティストとして、スポーツではなく、踊りで高みを目指したい。その日常の中で、得られるものを信じて歩んでいきたい。
なにをすればいい?
CNDでテクニカルなクラスを受けたり、バレエ団の朝のクラスを利用したり、クリエーションを覗かせて貰ったり、やれること、やりたいことをもっと積極的に、貪欲に拾っていこうと思います。
フランスに来たことで得られた人脈や経験、自信を武器にして突き進む。そのために必要な情報を集める。最近は、ネットで何でも見つかるけど、この目を使って見て、感じたい。
参考 ”フランスのダンサーの仕事に関わる大手サイト”Centre Natinoal de la Danseケーススタディ:私の場合
私の場合はリヨンに住んでいるので、家の近くにスタジオが3つほどあってリハーサルやクリエーションにはそこを無料で借りてます。事前の予約はやっぱり必須ですが、コストを抑えて行動できるのは、やっぱりメリットです。
フリーランスって働きかたは、時間配分やコストのことなどで時々下向きなシリアスな考え方に取り憑かれて、真剣な「真面目」な踊りになる時があります。振付家にも「シリアスになりすぎず、遊ぶ時があってもいいよ」とアドバイスされたり。そういうことも、遊びを認めることで少し気が楽になりました。
JIN
Laura
JIN
Laura
なにを伝えたかったか?
子どもの頃から芸術に触れ続けて、やっと道が一つに繋がろうとしてます。紆余曲折あっても、まっすぐ舞台で届けたいって想いは変わらない。もっともっと、進みつづけよう。
では、今月も精進いたします。応援、宜しくおねがいします! JIN