フランス・リヨン在住の日本人ダンサー・起業家

10月の総まとめ。日本人のフリーランサーがフランスで生き甲斐を見つけてビザを取得し、生き残るために考えるべき戦略。

2019年のシーズンが始まり、10月になりました。フランスへ来てまるっと3年が経ち、これから自分がやりたいこと、成し遂げたいプロジェクトの姿が見え始めたので共有しつつ、滞在予定を載せようと思います。

今年も残すところあと3ヶ月を切りました。でも、この季節の数えかたや、感じかた自体が日本らしいなって自分でも思います。とくにフランスでは、新年よりも家族と過ごすクリスマスの方が大々的に取り上げられるからです。そして、2018年はフランスと日本をテーマにした大きな企画が動いています。

フランスと日本の所縁も160年に!

いまパリでは、Japonismes 2018というイベントが大々的に開かれています。これは、フランスと日本の文化交流の節目として、ダンスのフェスティバル(Festival d’Automune à Paris)や美術館の展示(エクスポジション)で日本の文化を取り上げるなど、双方の絆や発展を大きく後押しする記念行事だと言えます。

新シーズン始まりの10月にやること

今シーズンは、わたし自身が中心になって立ち上げたい企画が幾つか頭の中にイメージとしてあって、とくにフランスと日本を繋いで出来上がるパフォーマンスの為のプロジェクトをメインに推し進めようと画策してます。

  • Project1
    Kagerou(仮)プロジェクト
    リヨンにあるコンフルーエンス美術館で開かれた展示で、Charles FREGER氏が軸となって作成された企画に、同僚の振付家が感動して動き出したダンス・パフォーマンスを軸とした企画。
  • Project2
    リヨンの絹プロジェクト
    わたしが住む街リヨンには、古くから絹の産業の文化がありました。そして、故郷でもある大阪の田舎にもシルクロードの歴史が深く関わっています。そこで、その2つを繋いでリヨンの絹の価値を再発見し、若い世代によりスタイリッシュなイメージと発信をするための企画です。
  • Project3
    フランスと日本のクリエーターのコラボレーション
    フランス人の演出家や振付家が制作した、日本人を演者とするパフォーマンスを「日本の若者育成事業とコラボ」して、文化交流イベントを企画したい。
  • Project4
    日本の伝統芸能とのコラボレーション企画
    フランス人の振付家の同僚が、ある日本をテーマにしてフランス人が描いた物語に着想をへて、パフォーマンスをツアーしているので更に発展させたい。
  • Project5
    Som(m)e-bodyプロジェクト
    わたし自身が立ち上げたプロジェクトカンパニーの制作する、10分程度のソロパフォーマンスをパッケージングする。フェスティバルや、ワークショップなどの機会を積極的に作り出して”アーティストとして発信”していく機会を増やす。

10月11日〜11月2日までの滞在予定。

10月から11月にかけては、ほとんどリヨンから離れて、プロジェクトの制作やアーティスト、行政機関へのランデブーを特に沢山とってるので走り回っている感じ。とくに11日以降は毎日ドタバタと人に会ったり情報を集めたりする日が続きます。パリとリヨン郊外を行ったり来たり。

  • 11日からはパリでクリエーション、リハーサル、オーディションで滞在します。
  • 17日頃からは同じくパリの劇場で、あるプロジェクトの見学と挨拶でワクワク。
  • 22日からは新作のレジデンスでリヨン近郊のCussetという街に2週間滞在します。

この1ヶ月の間はどんな進捗があったか?

この1ヶ月は、わたし自身が節目だと思っていた31歳になる月でした。フランス、日本、スペイン、ドイツ…世界へ飛び出して縁ができた数え切れない仲間から祝福されて感謝の気持ちを持ちつつ、誠意と野心を更にエネルギーに変えて精進し続けるキッカケになった1ヶ月でした。とくに、

  • 他業種のフリーランサーから仕事の相談をされた。
  • ダンサーという枠を超えて仕事を創り出す機会があった。
  • ”やること”ではなく、”やらないこと”を考えた。

という3つのポイントが私の中でフランスでのこれからの活動の軸を、強くイメージさせてくれました。人と話すのが好きって、フランスに来てもやっぱり役に立つし”聞き役”ってポジションは情報も集まるから言葉も覚えやすい。

9月に一番強く印象に残った体験は?

今年の春から制作がスタートしていた、演劇とダンスの垣根を超えてフランス人の女優と共演した舞台「Syngué sabour」は、私自身の人生の中で最も印象に残る舞台の一つになりました。

演出の方向性が変わるのはもちろん、フランス語、日本語、英語、演劇のプロセスやダンスのメソッドがまるで綿密に編み込まれた絹の生地のように強い舞台を創り上げる。そこに、身体の専門家としてアーティストの立場で出演する。

プロダクションの在り方そのものに対する疑問や、問題点、改善した方がいいと思う点など、これからの人生に大きく関わる経験になりました。これがきっかけで、自分自身でより身を確かに守る為の勉強を始めたって感じです。

ダンサーって枠は超えて、”アーティスト”として個人で選ばれたいって感情が強くなったし、振り付けでも即興でも、ソロで舞台に立って観客の目線を背負い、生き様で報酬を頂くってことにプライドも出て来ました。

フリーランスが生き残るためには?

フリーランサーとして、フランスで身体を扱う専門家のダンサーって仕事を選んで生き残る為には、戦略が必要なので2015年から色々と準備を進めて来ました。その結果が一つ身になりつつあります。

次のプロジェクトで、スペイン人の振付家の同僚とクリエーションをおこなっていたある企画が、フェスティバル関係の助成を受けることに成功したので発展させる機会をスペインで頂きました。プロセスとしては、

  • 偶然の出会い
    振付家と出会いオーディションをする
    偶然にリヨンのCNDで知り合った振付家が、彼自身のプロジェクトを持っているというので相談に乗り、結果的にダンサーとして参加することに。
  • 仕事を請け負う
    アイデアをまとめてイメージを創り出した
    もともとテーマは決まっていたので、そのテーマに対して身体的にマッチする動きや演出について少しずつ、アイデアを出してビデオを取り始めた。
  • 環境の改善に乗り出す
    クリエーション環境を積極的につくりだす。
     アソシエーションを設立し、フランスでの活動環境を整えてリハーサルの回数を増やし始めた。
  • プロジェクトの拡散
    情報を共有し始める
     広報用の素材をつくって助成金やレジデンスの場所を確保して、プロジェクトの発展をより具体的にした。 
  • プロジェクトが認められた
    プロジェクトの有効性を示して、より強い企画にする
    パフォーマンスとしての面白さはもちろん、企画の持つ社会性、芸術との関わり方をより明確に示して収益性をアピールしていく。

という感じで、企画の立案と構想を振付家が用意してくれたので、私がダンサーとしてそのアイデアを具体的な振り付けやカタチとしてビデオに収まるようにクリエーションをしてきました。アマゾンで買ったプロ向けの簡易的な撮影キットが役に立って、こっそり嬉しかった。

個人が稼いで生き残るには?

劇場に専属で所属しない、フリーランサーって働きかたで生活に必要な報酬を得て生き残り続けるには、最低限必要なものがあります。それが、クリエイティビティだと思います。わたし自身は、アーティストの方や企画の立案をしたいカンパニーの方を俯瞰して、その双方をわたしを通じて繋いでマネタイズしていく。その為に、最善を尽くすことに仕事の価値を感じています。

なにをすればいい?

フランスでこういう生き方、特に、好きなことを仕事にしていきたいって思うなら勉強しておくべき事があります。それは、語学に関する技術や知識を学ぶ事。わたしの周りにも、服のデザインをしたり実際に制作して販売するまでを会社と個人で両立しているフリーランサーの知り合いがフランスにいます。

ビザの申請で業者を雇ったり、日本とイギリスを繋ぐ通訳の役目としてパソコン一台で世界中で仕事がしたい女友達は、やっぱり最低限のフランス語と武器になる”英語”のスキルを身につけてました。個人が想いをカタチにして、選ばれる為には言葉って強い力になるって改めて思います。

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ケーススタディ:私の場合

私の場合は、2015年にフランスにきてから語学学校に通った事はありません。なぜなら、学校で椅子に座って机に向かい、先生が示すプリントの宿題を90分の授業でこなしたり、宿題になって時間を使うのが好きじゃないから。

だから、1000円位の基礎中の基礎のテキストを蔦屋で買って毎日読み込んで、実際にソーヌ川沿いを散歩してる暇そうなフランス人を捕まえて、インタビュー形式で勉強してました。これがすごく効果的な気がします。

JIN

Bonjour!
Quoi?

Tatiana

JIN

Je suis japonais, et vous?
Moi, je suis française(il est fou?)

Tatiana

10月のまとめ

話が少し逸れましたが、9月までに進展したプロジェクトは3つ。そして、そのうちの1つが大きく姿を変えて発展し始めているところです。舞台で身体を駆使して踊る専門家のダンサーって立場で、社会に対して貢献するって簡単じゃないって改めて感じた事もありました。

それでも、想いを言葉にしたり、身体の状態や振り付けを言語ってツールを通して共有するって人生にとって必要な経験だし、能力になると信じています。

ワークショップを開くにしても、かっこよく踊るとか、振り付けの正確さなんて正直どうでもよくて、産まれた時から芸術に触れ続けてる身体の専門家の私が、人前の舞台に立つって機会を通して、生きることに繋がる身体の知恵を共有したい。それを、私はダンスと呼びたい。そんな風に思いました。

では、今月も精進いたします。応援、宜しくおねがいします!

JIN